(43)テルミンの音色を弦楽器風にする試み−1 2012. 11 19- 2012.11.19
速報につき変更や加筆があるかも知れません。
波形的に見ると弦楽器には偶数次と奇数時の両方の倍音が含まれるらしい。
”のこぎり波”には偶数次と奇数時の両方の倍音が含まれる(*1)。
つまりヘテロダインから得られた信号から”のこぎり波”が生成できれば弦楽器風の音色のテルミンができる可能性があります。
しかし、ヘテロダインから得られた信号(正弦波)から簡単に他の波形に変換できるのは矩形波のみである。
テルミンは演奏により周波数がダイナミックに変化するので、矩形波以外の波形への変換には工夫が要ります。
色々なアイデアで実験を繰り返した結果ヘテロダインから得られた信号から純アナログ的手法で”のこぎり波”を生成する目途が立ちました。

写真はFGの周波数を変えて実験しているところ
今回はブレッドボード上でFGの正弦波をのこぎり波に変換する実験をしました。
周波数を変えた時にもレベルがあまり変わらないで、波形がのこぎり波状を保つことが確認できました。
次回は元の正弦波状とのこぎり波、両者の混合波(混合比可変)が一つのつまみで任意に設定できる回路をテルミンに組み込もうとしています。
注*1:音色と波形について
テルミンの音色をオシロで見ると低音域を除けば、ほぼ正弦波状(*2)です。
正弦波の音は丸い音とも言われるが倍音の含まれた音色を好む人の方が多いらしい。
テルミンの音色に倍音成分を含ませるためには波形を歪ませる事でできます。
しかしアナログテルミンでは比較的簡単な回路で済ませる事になるのでシンセのように複雑な音色は出しがたく限界があります。
一番単純なのは矩形波状にする、または元の波形に矩形波状の波形をmixすることになります。
単純な回路で作ることができる波形としては矩形波、三角波、のこぎり波が考えられます。
波形の違いによる音色の違い(どの楽器の音色に似ているか)は以下のように言われているようです。
1.正弦波(基音のみで倍音を含まない波形):フルートの波形が近いと言われる。
2.三角波(直線で表せる波形の中では、もっとも正弦波に近く正弦波の次ぎに丸い音と言われる)。
3.矩形波(基音と奇数倍の倍音が含まれる波形):クラリネットが持つ波形に近いと言われる。
4.のこぎり波:(基本周波数の偶数倍音と奇数倍音の両方(全ての整数倍音)を含んでいる。)
弦楽アンサンブルの音色に似ていると言われる。
実際の楽器の波形は上記のように単純ではないがテルミンで弦楽器風の音色を出すには偶数時の倍音も含まれる必要があるようです。
注*2:ヘテロダインから得られたテルミンの波形について
歪の多い発振器で作られたテルミンの場合は正弦波とならない場合もある。
正弦波状となるのは中音域から上であって低音域ではとても正弦波とは言えない歪んだ波形となる。
これは二つの発振器が干渉しているために起こるもので引き込みの強いテルミン程高い周波数から波形が崩れるためです。
この傾向はetherwaveでは顕著に表れるが、この音色を好む人もあれば嫌う人もある。
引き込みの弱いテルミンを作ると1oct以上低い周波数まで波形は崩れないようにする事が可能。